繊細な感性を持つHSPの人に市川拓司さんの小説をぜひとも読んでほしい


こんにちは。伊波です。

今日はね、ずっと前から書きたいと思っていた、市川拓司さんの小説について書きます。あの世界観を愛しすぎているあまり、ずっと記事を書きたいと思っていたのですが、書けないでいました。私の語彙力ではどれだけ美しい世界観か伝えられないから。

どれくらい好きかっていうと、今まで市川さんの小説について誰にも話したことがないくらい好き。普通はさ、いい小説とか見つけたら、誰かに紹介したくなっちゃうじゃん。

だけど、市川さんの小説は、誰にも話さず、心の宝箱に大切にずっとしまっておいて、たまにその宝箱を開けてみて、その度に感動したい。だから、今回、人に話すのは初めてです。とっておきです。

初めて読んだのは、高校2年生の夏。それ以来、市川さんの小説は私の青春そのものになりました。学校や家庭で悩んでいたときも、小説の世界が自分の現実逃避の場になっていました。

自然や植物の表現方法が美しく、登場人物たちはみな繊細な心を持った、儚げな人たち。文章から、雨や草木、花の香りが本当にただよってきているように感じました。世界観を絵で例えると、淡い色の絵の具で描かれた、緻密で美しい、雨上がりの朝に輝く風景画のような感じ。

多分、感受性が強すぎるせいで心に傷を持っている人は、この繊細で美しい世界観に現実逃避してしまうと思います。そして、その世界観から、この現実社会に引き戻されたとき、なんて汚れてしまった社会なんだと、かなり鬱になり、数ヶ月の間は社会不適合者になってしまうでしょう(笑)。私がいい例ですよ、ほんとに(笑)。

学校にはもともと適応できていませんでしたが、この世界観にはまってしまったことで、適応しようとすること自体やめたので、状況はひどくなりました。だけど、美しいものを愛するということは、それくらいの代償を払うものだと思います。


それでは、私の愛する市川さんの小説をランキングで紹介します。私の主観です。ネタバレしないように気をつけます。


1位 『吸涙鬼』

何十回読んだのかな。始めて読んたときから5年経った今でも、その世界観を忘れられない、一番大切な小説。これから先もずっと一番大切な小説。これ読んでから1ヶ月くらい泣いた。あんなに切なくなることは初めてだった。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、あの結末で感じた感情は、言葉では言い表せない。あまりにも美しい愛の物語。

甘美なシーンはあるけど、それは全然性的な意味ではなく、心のもっと深い部分で感じる甘美さがあります。魂から愛し合っている二人が触れ合うと、あんなに一体感があって、心地よいのだな、と感情移入して思いました。

私、この小説を読んでから3年後にツインソウルに出会っているのですが、今振り返ってみると、この物語の主人公二人もツインソウルみたいだと思いました。全然、普通の恋愛とは別物のような恋愛。恋愛ではないのかもしれない。だけど、相手に「生きてほしい」と心の底から願う深い深い愛情がある。そして、その愛する人の願いによって命を救われる。

今もこの世界観は私の心の一番深い部分にある宝箱にしまっています。私は不眠症もちなのですが、夜眠る前に、この小説に出てくる、夜の屋上庭園を想像すると、安心してよく眠れます。もう、私にとってこの世界観はなくてはならない、人生で一番影響を受けた作品です。

2位 『恋愛写真―もうひとつの物語』


主人公の女の子が、純粋に相手を思う一途さと優しさに、涙が止まりませんでした。一生のうちでただ一人だけを好きになり、心から愛して、まっすぐにその愛情を伝えることがどれだけ美しいことかと感じました。ただただ、見返りを求めず、相手の幸せを素直に願って、相手が受け入れてくれる範囲の中で、精一杯愛すること。そのひたむきさに何度も泣かせられました。この作品の映画版も大好きです。映画も何十回も見ました。


3位 『いま、会いにゆきます』

初めて読んだのは、高校生のときだったので、当時はこの小さな子どもがいる夫婦の物語にあまり感情移入できなかったのですが、結婚とか出産とかを少しは考えるようになった今では、とても心に響きます。「愛されること」ではなく「愛すること」を覚えた人は、感情移入してしまって、涙が止まらなくなると思います。大人におすすめしたいです。


まとめてみた感想

アカン・・・。全然良さを伝えられている気がしない・・・。Amazonのレビューとか見ていただいたほうが参考になると思います(笑)!なんで、私、こんなに文章書くときに感情移入できなくなってしまったのだろうか・・・。小さいときのほうがまだいい文章書いてましたよ。

社会に出て、金儲けのことを嫌でも考えさせられたり、やりたくないことをやったり、合理性を高めたりしたりしたせいで、逆に感受性を犠牲にしてしまったのだろうか。

雑談

市川さんの小説は、大好きな人と、そうではない人に大きく二分されると思う。現実の社会にどこかしら不満がある人と、ない人の差かな。不満がない人なんていないけど、それは、その不満でさえ、現実で解消することができるという意味ね。一方で、どうしても現実では解消できない悩み、または悩みとまでは言えなくても、今の社会がちょっとおかしいと思っている人もいる。

市川さんの世界観の入り込んでしまうまでには、一枚の膜を破る必要がある。この膜を破るのは、ちょっと怖い。特に、現実に満足している人たちにとっては、とても怖いから、市川さんの世界観に拒絶感を持ってしまうと思う。

なんで怖くなってしまうのかと言うと、この世界観に浸ってしまうと、今まで当たり前にやってきた、お金儲けのためのビジネス、出世競争、恋愛の駆け引き、などが、繊細で美しい感情を覚えてしまったことで、できなくなってしまうから。私も、会社勤めをしているときは、市川さんの小説は読めなかった。

市川さんの小説は、繊細だけど、誰もが持っている心の一番深い部分に訴えかける力がある。その心の一部分は、愛情とか他人に対する思いやりとかがあるところと同じくらい深い場所。それで、この世界観に浸ってしまうと、嫌でも自分のその部分を見つめさせられるんだ。

だから、ある意味では、万人受けの小説とも言える。だけど、自分のその部分を見ないことで、厳しい社会に対応して、必死に生きようとしている人たちがいる。この人たちが、さっき言ったような一枚の膜を破ることは、とても勇気のいることだ。

つぶやき

今回は、長々と書きましたが、読んでいただいた方も大変だったのではないでしょうか(笑)。私、残念なことに、手元には市川さんの小説、『吸涙鬼』含めて3冊しか置いてないのですよね。他のは全部、実家に置いてあります。なんで、実家に置いてあるのか聞いてくださいよ。市川さんの小説はですね、自然に囲まれたところで読むのが最高なのです!雨の音や鳥の鳴き声を聞きながら、数日間何も予定いれずに、ゆっくりと市川ワールドに浸りたい。

ちなみに今は、『ねぇ、委員長』が無性に読みたい。もどかしくて切ない、あの恋心に感情移入したい。小説ってすごいって、市川さんの小説を読むと本当に思いますよ!文章を読んでいるだけなのに、視覚、聴覚、嗅覚、そして心の深い部分全てが満たされる感じ。現実よりもずっと美しい。・・・ということで、長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございました!